初投稿:2021.5.21、更新日2021.12.27
こんにちは!
この記事は、ドトール日レスホールディングス【3087】に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。
・相変わらずドトールと日レスの二つの会社だけど良いことも・・・
・個人がお金と上手に付き合うための3つの資本について
2022年2月期(第2四半期報告書)を頂いたので、サンマルクカフェとの比較を踏まえ、記事を追記し更新しました(更新部分は青字です)。
●サンマルクとの比較
サンマルクは20店舗減、2期連続赤字、社長交代という状況です。
これに対してドトール日レスは50店舗増、黒字転換(赤字は1期のみ)、現体制維持です。
明暗を分けたのは何か?
両社とも、良い商品、良いサービス、良い店舗と言う点では差はそれほど無いように思います。
違いを分けたのはビジネスの”仕組み”の部分だと考えます。
四季報によるとサンマルクについては「・・賃料負担重く営業赤字継続。」とあります。
これに対して、ドトール日レスの社長は株主総会で、「我々のビジネスはある意味、立地家業」と答え、実践してきたことが業績に良い影響をもたらしていると考えます。
また、自己資本比率もサンマルクの65.3%に対して、ドトール日レスは80.5%で資金の余裕の点でも有利です。
では、ドトール日レスの経営の強みの源泉は何でしょうか?
●ドトール日レスの経営の強さ
やはりドトールと日本レストランの2つの会社の合併が現在の強みの源泉だと考えます。
「飲」、フランチャイズのドトールと「食」、自前の日本レストランの関係が相互補完であり理想的だったこと。
そして、結果を残せなかった鳥羽一族がドトールの創業であるにもかかわらず経営から手を引いているという実力主義。
さらに、両社の切磋琢磨があったからこそ、守りに強く、そして攻めに転じやすい経営に繋がったのだと思います。
●『外食・非常識経営論』
ドトール日レスの大林会長の著書を読むと、
「外食産業や小売業には、脇を固めることもせずに拡大路線に突き進む経営者が少なくない。」
とあります。
まさに、コロナ禍の外食産業に参考になる経営ノウハウが満載です。
著者である会長は批判の大切さを強調されており、その結果が「いい会社」に繋がったと説明されています。
そして批判は周りだけで無く自分自身に対しても有効であるとのこと。
自分に対する批判を忘れないことで、慎重かつ柔軟な判断が可能になるとの事です。
そして、その批判精神は、経営のみならず投資にも有効だと考えます。
銘柄選びを慎重に行い、見込み違いに気づいたら柔軟な判断(損切り)することで投資効率の向上が望めます。
さまざまな点で学ぶことの多かった一冊です。
【目次】
1 ドトール日レスホールディングスについて
⑴ 会社概要
ドトールグループとと日本レストラングループの合併会社。
カフェやレストランでおなじみ。
「外食産業における日本一のエクセレント・リーディングカンパニー」を目指す!
⑵ 株主になったきっかけ
カフェ仕事でドトールコーヒーを愛用していたため。
ちなみに、DVC(ドトールバリューカード)のプラチナランク会員(年間5万円以上購入)です。
⑶ 経営分析
今期は売上高3割減などかつてない厳しい赤字決算でした。
それでも会社経営には大きな影響はなさそうです。
連結計算書類から計算してみました。
収益性
売上高総利益率:58%(昨年は60%)
確かに赤字は問題ですが、原価が低く粗利率が高いビジネスモデルであることがコロナ禍でも証明されました。
安全性
流動比率:315%
当座比率:235%
負債比率:23%
自己資本比率:82%
事業報告のビデオでも触れられていましたが自己資本比率が高く強固な財務基盤であることが改めて確認できました。
2 株主総会等
⑴ 株主総会
2021年5月25日(火) 第14期定時株主総会 セルリアンタワー東急ホテル
決議事項
・剰余金処分の件
・取締役10名選任の件
残念ながら大林会長は体調不良のため欠席。
株主総会開始とともに会場から拍手が沸き上がりました。
赤字に終わった事業報告につづき対処すべき課題が説明されました。
・日レス:収益性の高い立地を厳選する出店戦略
前から、
ドトールと日レスは同じ会社になる必要があったのだろうか?
と疑問を持っていました。
上記の課題を見ても、方向性が全く違います。
合併による相乗効果はあまり感じられません。
それでも、今回、それなりに合併した意味はあったのではないかと思いました。
それは、
・コロナ禍に左右されない強固な財務基盤
・株主からの質問にてきぱきと答える社長の(煙に巻く)答弁
・株主総会招集通知で明記されている9つの事業リスクの明記(ここまでリスクを明記できる企業は多くない)
などを踏まえての結論です。
思うに、社内でドトールグループと日レスグループの激しい切磋琢磨が14年間続いてきたのでしょう。
その結果、コロナ禍にもたじろがない守りに強い組織づくりに寄与したものと考えます。
主な質疑応答は以下の通りです。
Q.既存事業の再強化の進捗は?
A.常に考え行動している。例えば、カフェレクセルのような派生型店舗もそのひとつ。
Q.M&Aの取り組み具合は?
A.準備はしているが、具体的案件はまだない。
Q.アジア市場を巡る展開は?
A.シンガポールをはじめ着実に取り組んでいる。
Q.(ドトールショップのオーナーから)今年は大赤字で借入金による債務超過の状態。来年から返済が始まり生きるか死ぬかの瀬戸際。価格改定の可能性は?
A.状況に応じて慎重に価格決定をしていく。
Q.経常利益率の5~7年後の展望は?
A.まずは、黒字復帰。中長期的には売り合が高経常利益率7%程度を目指す。
Q.プライム市場を目指すために社外取締役を3分の1以上に大幅に増やすのか?それともエクスプレインで逃げるのか?
A.現状でプライム市場は可能だと考える。取締役の急な大幅入れ替えは好ましくない。エクスプレインで対応する。
Q.大林会長の本に飲食業における不動産の重要性が書かれていた。ある意味、好機なこの時期の不動産戦略を推進し得る取締役はいるのか?
A.会長の本を読んで頂き感謝します。ご指摘の通り、飲食業はある意味”立地稼業”と認識している。天間取締役を中心に(豊富な経験を持つ社長も含めて)しっかりと取り組んでいく。
⑵ 株主還元
配当
一株につき12円
株主優待
食事券
100株:1000円
300株:3000円
500株:5000円
3 株主としてのコメント
NISA口座で購入しており、約4万円の含み損で悩んでいました。
けれども、カフェを営むオーナー株主の価格改定についての発言で、含み損のことなど飛んでしまいました。
同じドトール日レスで働く人なのに、会社側は大幅赤字にもかかわらず経営基盤は盤石。
それに対して、カフェを営むオーナー側は生きるか死ぬかの瀬戸際。
このような天国と地獄の違いを生んだ違いは何か?
考え込んでしまいました。
もちろん結論には至りませんが、ひとつには金融リテラシーがあるのではないかと思います。
人がお金と上手に付き合っていくには3つの資本が必要と言われています。
人的資本(首から上の頭脳労働力(スキル、知識、経験)、首から下の肉体労働力)
社会的資本(人脈、地位、家族、友達、地方自治体や国からの支援やサービス等)
特に、コロナ禍のような状況では、個人は、人的資本を活かした本業の一本足打法では厳しいかもしれません。
収入源を多様化するためにも金融資本を活かすリテラシーが欠かせません。
そしてそれは、一朝一夕にしてできるものではなく日々取り組み続けるべきものだと痛感しました。
これに対して、会社の粗利率の高さや安全性抜群の経営については改めて素晴らしいと感じました。
利益剰余金をこつこつと毎年積み上げてきた”成果”が表れています。
そして、”立地稼業”との認識のもと不動産戦略を着実に進めていく”攻め”の一面も垣間見ることが出来ました。
塩漬け持株を忘れてしまうくらいいろいろと考えさせられた株主総会でした。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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