初投稿:2021.4.23、更新日2022.4.29
こんにちは!
この記事は、Casa【7196】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
なお、2022年4月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青地です)。
・不祥事が生じた銘柄の買はアリか?
・ビジョンと戦略とオペレーションについて
★★★
【目次】
【株主総会の会場となった住友不動産新宿グランドタワー】
1 Casaについて
⑴ 会社概要
Casaとはラテン語で”住まい”を意味するそうです。
家賃債務保証の会社。
家賃を回収するために、助成金申請や就職或いは養育費などの顧客支援を実施しています。
社長の説明では、M&Aを行なった子会社3社との融和団結を進める意味で”みんなの家”という願いが込められているとのことでした。
⑵ 株主となったきっかけ
不祥事の報道で会社を知りました。
ネットではブラックなイメージが飛び交っています。
でも、いろいろ調べていくうちに、業績は好調、1月決算、高配当、不動産関連、DX等興味が湧いてきたので2021年の1月に株主になりました。
⑶ 2022年1月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:58%
・売上高営業利益率:10%
DXに強い会社ということで収益性は悪くありません。
ただし、昨年と収益性がそれほど変化がないのでちょっと物足りない気もします。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):95%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):54%
数値的には昨年と顕著な差はありません。
ただし、短期的な安全性には懸念がある一方、中・長期的な懸念はそれほどでもないと考えます。
業種的にはその他金融業に区分されるので、数値的には妥当な水準だと考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:153
有形固定資産額が674万円しかありません。
ちょっと少ないような気がします。
勘定科目の内訳は金額順で「その他」、「建物及び構築物」、「リース資産」となっています。
有形固定資産についは効率的な経営がなされていると考えます。
⑷ 2021年1月期の業績
増収減益です。
減益の要因は支払い猶予に応じたこと等による債権回収率の低下。
このご時世では、やむを得ないと思います。
収益性
・売上高営業利益率10%
優良株と考えます。
安全性
・流動比率103%
・自己資本比率51%
財務基盤は盤石とまでは言えないまでも問題のあるレベルではないと思います。
【総会を案内するデジタルサイネージ】
2 株主総会等
⑴ 2022年4月の株主総会&事業説明会
第9回定時株主総会 2022年4月27日(水) 住友不動産新宿グランドタワー
20名前後の人が会場に集っていました。
ライブ配信がなされていたように思います。
社長の挨拶に始まり、ビデオによる事業報告、議案の上程に進みました。
主な質疑応答
Q.家主ダイレクトの使い勝手の改善について
A.改善に努める。
Q.物価上昇の影響について
A.正規社員の顧客が多く家賃の滞納等は少ない。
Q.管理会社市場と自主管理市場について
A.管理会社市場(52%)においては15%が連帯保証人を必要としており、そのうちの6〜7%を取りに行く。
自主管理市場(48%)の30%を目指す。
社長はこれまでのCasaのITシステム構築を指揮してた。他の2人の役員については金融機関のIT部門での実績を有する。
Q.会社のITシステムは内製または外注か?
A.プロジェクトマネジメントは自社で、プログラミングは外注としている。
Q.他の保証会社との差別化について
A.保証会社は100社程あるがコモディティ化しており大きな差はない。
ただし、当社は連帯保証人なしで家を借りることを理念としていることや、利益の源泉である大家さんを大切にすることなど、目指すところの違いがある。
そのため、大家さんが必要としている客づけを支援するためのサービス等を提供している。
Q.女性取締役について
A.社員の男女比は2:1であり、管理職の12%は女性である。
将来、適任者が育成された場合は採用する。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・取締役2名選任の件
滞りなく賛成・可決され増田。
続いて新役員が紹介され意気込みを語っていました。
会場からは拍手もありました。
50分程で株主総会は終了。
10分の休憩を挟んで事業説明会となりました。
事業説明会
スライドを用いて会社の事業概要と今後の成長戦略について数名の役員による説明がなされました。
その中で主力商品・サービスとして
・ダイレクトS:大手300社向けサービス
・Casa WEB:小規模30万社向けサービス
・家主ダイレクト:オーナー向け賃貸経営管理サービス
・Compass:オーナー向けAI不動産経営シミュレーターサービス
・養育費補償事業:シングルマザー向けサービス
が紹介されていました。
株主との質疑応答で印象に残っているのは以下の3点
●後発の同業他社に抜かれた原因
抜かれたことについては悔しい!現状にあぐらをかいていたと言われても仕方ない。
現場の意識、足の筋肉の違いが出た。体制と環境を整えしっかりと結果を出すよう努める。
●賃貸経営についての一次データの利用(販売)
他社にデータの販売は考えていない。現在はより精度の高い与信管理に活かしている。
近い将来ビックデータの活用により、多種多様な商品・サービスなる可能性を秘めていると認識。
●大家さんの賃貸経営力向上
勉強会や情報・ツールを駆使することで大家さんの賃貸経営能力が向上している。
3年後には管理会社にあまり依存しない強い大家さんが増えると予想している。
最後に
株主総会&事業説明会の約2時間の間、株主から低迷する株価についての質問はありませんでした。
それでも社長からは、株価については気にかけており株主に報いる気持ちは十分ある旨の話がありました。
いろいろ勉強になりました。
終了時には、会場から拍手。
その後、会場出口で社長からの見送りがありました。
好感が持てます。
⑵ 2021年4月の株主総会
第8回定時株主総会 2021年4月22日(木) 住友不動産新宿グランドタワー
業績や議案の説明がなされた後、質疑応答になりました。
”パワハラ事案”を問題視した株主によって総会が荒れるかとも思われましたが、反対に建設的な意見・質問が多かったように思います。
社長も、真摯な態度で丁寧な説明に努めていたご様子。
有意義な総会だったと思います。
最近の株主はスマートな方が増えたと実感しています。
「来期も赤字なら私は社長の座にとどまりません!」と宣言したものの、2期連続の赤字に陥りつつも社長の座にとどまったライザップの社長。
いきなりステーキがいきなりブレーキになりCG注記がついてしまった、ペッパーフードサービスの社長。
そして文春砲がさく裂したCasaの社長。
いずれの総会でも株主は荒れ狂うことなく、会社復活のための前向きな意見を披露していたことが印象に残っています。
反対に荒れた総会とは?
昔なら、総会屋さん(?)が言いたい放題だったANAの総会や反日報道を繰り返すフジテレビなどが大いに荒れていたことが思い出されます(同じ反日報道でもTBSやテレ朝は比較的穏やかな批判)。
最近では、元講師が会社を訴えているTACも荒れ放題でした。
話が、それました。
主な質疑応答
Q.連結貸借対照表(バランスシート)の項目で、
・「求償債券」39億円は回収可能な債権
・「貸倒引当金」24億は回収困難な債権
という理解でいいか。
A.そのとおり
Q.社長のCasaで成し遂げたいことは何か?
A.会社を倒産させた際の苦しかった経験を踏まえ、連帯保証人なしで住居を確保することが出来る社会を実現させたい。
Q.貸倒引当金の額は大きいのでは?また、債権回収を推進するための方策は?
A.指摘の通り、保守的に見積もっている部分もある。今後は、入り口のチューニングを検討する。
Q.入口のチューニングとは?
A.事故率は特定の代理店に偏っており、それらの代理店との契約を見直していく。
Q.Casaの不動産DX企業としての他社との違いは?
A.決済と保証の両方を備えていることが強み。
Q.人材確保の状況は?
A.今期はITと営業を中心に30名獲得する予定(1月からすでに5名入社済み)
約1時間15分程で採決を行い滞りなく承認可決。
そして、5分の休憩をはさんで事業説明会へ
事業説明会
多くの方が、総会に引き続き事業説明会に参加。
会社側は、社長の他、IT、顧客管理、営業、経営管理、業務、総務の6名が出席。
Casaのコード番号7196に対して覚えやすい語呂合わせとして
無い苦労(7196)
というエピソードがでる程、和やかな雰囲気でスタート。
会社説明30分、質疑応答30分の約1時間。
ポイントは3つ
・DX不動産推進協会の理事としてテクノロジーを駆使して不動産の透明化を推進
・「管理会社市場の拡大」と「自主管理市場」の開拓
・SDGsとの相性の良さ
社長はビジネスモデルの変革にも言及し、現在の(連帯保証人なしに住居を確保するための)債務保証会社としての目的はほぼ達成しつつあるので、次は不動産の透明性を担保するための情報コンテンツ支援に力を注ぐことを強調していました。
また、役員にして激高し暴言を吐いた経緯については、まず、自分が傲慢だったと陳謝。
その上で、その役員が暴力行為を行ったこととパワハラで社員を何人も潰していたことが許せなかったとこのとです。
なるほどと感じました。
最後は、拍手で終了し、社長と役員の方にエレベーターまで見送っていただきました。
⑶ 株主還元
配当
前期に続いて一株当たり30円の配当。
配当利回りも3%を超えています。
株主優待
7月末の株主に1000円のQUOカードがもらえます。
自社株買い
13万株、1億円を上限とした自己株式取得の枠を設定しています。
3 株主としてのコメント
⑴ 不祥事が報じられた銘柄の買はアリか?
アリだと思います。
理由は2つ。
・株価下落が行き過ぎる場合がある
・不祥事が会社を調べるきっかけとなる
Casaについては予想通り、不祥事による下落から上昇に転じたものの、その後は減益の影響でダラダラ下げています。
売買のタイミングは難しいですね。
また、会社を調べるきっかけについては、まさに今回Casaを調べることで不動産業界の”闇”も含めていろいろ学ぶことが出来ました。
企業の分析の重要性を改めて認識しました。
⑵ ”不動産会社”としての魅力は?
Casaはサービス業に区分されていますが、広い意味では不動産業ととらえていいと思います。
その上で、Casaの強みは
DX にあると考えます。
理由は2つ。
・与信管理で重要となる顧客の支払い状況など”一次データ”が蓄積するビジネスモデルを構築していること。
・経済産業省が認定する「DX認定」を不動産及び家賃債務保証業界で初めて選定されたこと。
特にテクノロジーはお金で買うことが出来ますが、顧客に関する与信情報などの一次データは簡単には手に入りません。
そういった強みを生かすことが出来れば、大きな飛躍も夢ではないと考えます。
⑶ ビジョンと戦略とオペレーションについて
”連帯保証人無しで家を借りる”という理念は分かり易いし共感が持てます。
そのために、DXを駆使した商品・サービスを「管理会社市場」と「自主管理市場」ごと提供する戦略も悪くないと思います。
特に、強い大家さんを育てつつ自主管理市場を開拓していく方向性は正しいと考えます。
ただし、オペレーションのレベルとなると、現状にあぐらをかいている姿勢は好ましくありません。
同業他社に抜かれたことに象徴されるように社員全員の奮起が求められています。
事業説明会で役員に株主にプレゼンテーションをする機会を設けたのも、まず、役員から率先垂範してやり慣れないことに積極的にチャレンジする姿勢を示させたかったように思います。
ビジョンや戦略を全社レベルで周知徹底させ、より効率的かつ効果的なオペレーションにつなげられるかどうかに注目して行きたいと思います。
4 まとめ
Casaについて述べてきました。
真摯な態度で臨む他の株主の方の質問を聞いて、不動産DXや賃貸債務保証ビジネスについていろいろ得るものが大きかったです。
また、ビジョンと戦略とオペレーションのどれひとつ欠けても企業活動はうまくいかないことを改めて感じました。
不動産業界のDX化の流れとともに会社の成長を見守りたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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