こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

博報堂DY【2433】〜株主総会雑感(続く不祥事とガバナンス)

投稿日:2022.8.15、更新日:2023.7.10

こんにちは!

この記事は、博報堂DY【2433】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年6月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・続く不祥事、されど株主の質問は皆無

・分かりにくいビジョン、即効性を欠く戦略、中途採用に依存するオペレーション

【目次】 

赤坂BIZタワー

                      

1 博報堂DYについて

⑴ 会社概要

広告会社として電通に続いて国内2位

売上高9900憶円、総資産1兆円、時価総額5619憶円の事業規模です。

PBRは1.46倍。

四季報ではメディア業種に区分され、時価総額順位は4/139社とのこと。

日経業界地図によると広告業界の国内市場規模は6兆円で、約1兆円づつを電通博報堂DYHDが占めているそうです。

博報堂のDNA

●フィロソフィー

・生活者発想

・パートナー主義

●ビジョン

未来を発明する会社へ。

博報堂のVI(ビジュアルアイデンティティ?)

「センタードット」:起点、結節点

広告会社らしい理念ですが、当たり前といえば当たり前のことがかっこよく記されているだけのようにも感じます。

正直、分かりにくい。

これらの博報堂DNAがどの程度社員に浸透しているかがポイントと考えます。

セグメント

博報堂

・大広

読売広告社

博報堂DYマトリックス

アイレップ

2014年に博報堂、大広、読売広告が経営統合されてホールディング会社となったようです。

横串機能強化をしているようですが、総務部門等の重複などまだまだ効率化の余地はありそうです。

⑵ 株主になったきっかけ

アフターコロナで広告業界が復活すると予想。

2022年の春に株主になりました。

信用売り残が若干多いのが特徴。

そのことが、株価の低迷にも通じているように思えます。

⑶ 2023年の経営分析

業績は増収減益です。

収益性

・売上高総利益率:41%

売上高営業利益率(10%以上は優良株):6%

前期よりも収益性は低下しています。

事業報告では、中期的な成長を見据えた戦略費の投下や活動費の戻りによる費用の増加が挙げられていました。

具体的には人員が666名増加したことがその主な要因と推測します。

ただし、四季報では北米他の海外で赤字が続いているそうです。

ちょっと気になります。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):120%

自己資本比率(30%以上が望ましい):38%

短期的な財務健全性については若干低下、中・長期の安全性はほとんど変化なしと考えます。

効率性 

・有形固定資産回転率:16.97

前期よりも低下しています。

情報通信関連投資を中心に約180億円の設備投資をしたことが影響していると推察します。

⑷ 2022年の経営分析

収益性

・売上高総利益率:43%

売上高営業利益率(10%以上は優良株):8%

粗利がとても高いです。

その割に販管費が多く営業利益は少な目です。

営業利益率低迷の原因は販管費の多さ。

ただし、400名規模の中途採用がなされているとのことで成長のための一時的な投資と評価します。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):149%

自己資本比率(30%以上が望ましい):37%

財務については盤石とは言えませんが、直ちに問題となるれべるではなさそうです。

効率性 

・有形固定資産回転率:24.11

比較的高い数値です。

投資した有形固定資産に着目すれば効率的な経営と言えそうです。

2 株主総会

⑴ 2022年6月の株主総会

第20期定時株主総会 2023年6月29日(木) 東京プリンスホテル

ライブ配信を視聴しました。

19分で終了しました。

事業報告の中で、

東京五輪テスト大会をめぐる独占禁止法違反疑惑

・東京オリパラをめぐる業務の談合事件

が報告されています。

主な質疑応答

なし

決議事項

・剰余金処分の件

・取締役10名選任の件

監査役2名選任の件

拍手を持って、承認・可決されました。

株主総会雑感

報告内容の薄さと株主からの質問がなかったことに驚きました。

しかも、不祥事が報告されているのに・・・。

そもそも、当社は社員お不祥事で億単位の損失計上が定期的に発生しています。

ある意味、恐るべし!

ガバナンスはどうなっているのでしょうか?

おそらく、会社としては指名委員会等設置会社であり厳正に監督していると答えると思います。

けれども、粉飾決算が行われた東芝もまた指名委員会等設置会社でした。

要は中身の問題

株主のチェック機能も働かない会社であることから、ちょっと距離を置きたいと考えて全株売却しました。

⑵ 2022年6月の株主総会

第19期定時株主総会 2022年6月29日(水) 東京プリンスホテル

参加せず。

決議事項

・剰余金の処分の件

・定款一部変更の件

・取締役10名選任の件

監査役2名選任の件

監査役の報酬額改定の件

全て可決されたとの通知をいただいています。

⑶ 株主還元    

配当

一株当たりの配当の推移は下記の通りです。

2023年3月期:32円

2022年3月期:32円

2021年3月期:30円

2020年3月期:30円

2019年3月期:28円

2018年3月期:26円

増配基調が続いていることは評価できます。

株主優待   

なし 

            

3 株主としてのコメント

⑴ 気に入っていること

中期経営計画の見直し

コロナ禍により経営陣は中期経営計画の見直しが必要と判断。

即実行する柔軟な対応は評価できます。

また、アフターコロナに向けて四季報では、「テレビ広告が底堅くネット広告は堅調」とのこと。

業界全体の回復基調も安心材料です。

人的戦力の拡充

四季報によると【大量採用】ということでエンジニアやデジタルマーケなど400人規模を中途採用とあります(同時にグループ内で早期退職制度も実施)。

併せてM&Aをした会社を中心に地方での事業を強化するとのこと。

大胆な方針展開は、厳しい環境を生き抜くために不可欠と考えます。

ただし、中途採用者の戦力化はそんなに簡単ではありません

期待しつつも紆余曲折の覚悟も必要と考えます。

⑵ 気になっていること

株価の低迷

株価が低迷しています。

業界トップの電通と比べても見劣りします。

特に、当社のトップライン、EPS共に来期以降もコロナ前の水準には及んでいない。

会社はソウルドアウトの完全子会社化、博報堂テクノロジーズの設立でデジタル化への対応に取り組んでいるとしています。

でも、デジタル化促進という戦略だけでは足りないと考える投資家や市場が株価の低迷をもたらしているのではないでしょうか。

業績について即効性を欠く戦略に懸念を抱かざるを得ません。。

広告の会社なのに動画などのPRが少ない

企業理念たる博報堂DNAが分かりずらいだけでなく、ちょっと内向きな組織文化があるように感じます。

例えば、ホームページを見ても、株主総会や決算に関する動画による説明がありません。

広告会社でありながら重要なステークホルダーたる株主(個人投資家は26%以上で少なくない)に対して効果的なPRができていないと考えます。

そのことはビジョンレベルで課題を抱えていることを意味します。

4 まとめ

博報堂DYについて述べてきました。

ビジョンレベルでの博報堂DNAの分かりにくさ戦略レベルで数年間はコロナ前を回復できない将来性の無さオペレーションレベルでの400名の中途採用への依存など、戦略の階層における課題を指摘しました。

”株主通信”では、2024年3月期までを戦略的投資フェーズと称しており成長が滞ることを公言しています。

今期は増収減益でしたが、将来増収に転じる可能性は高いと思われます。

ただし不祥事の多さと、ガバナンスの悪さによる自浄作用のなさ、株主のチェック不在などを考え売却しました。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #博報堂 #DX #横串機能 #談合 #独占禁止法

  

HEROZ【4382】〜老舗AI企業✖️キャッシュリッチ✖️ベンチャー等への投資

初投稿:2022.8.

こんにちは!

この記事は、HEROZ【4382】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・キャッシュリッチな老舗AI企業

・投資の目利き力について

【目次】 

株主総会会場】

                     

1 HEROZについて

⑴ 会社概要

「将棋ウォーズ」が有名な老舗AI企業。

総資産66億円、売上高14億円、時価総額142億円の事業規模です。

PBRは2.21倍と流行りのAI企業にしては堅実な数値(割安)です。

コンセプト

「驚きを心に」をコンセプトに、世界を驚かすサービスを創出することを目指して創業されたとのことです。

セグメント

AI事業単一セグメントです。

⑵ 株主になったきっかけ

4月決算銘柄であり、AI企業でもあることから以前から注目していました。

株価も比較的安定していたので打診買いして株主となりました。

⑶ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:38%

売上高営業利益率(10%以上は優良株):2%

粗利率はAI企業らしく良い数値ですが、営業利益率は低いです。

低収益の原因は販管費の多さにありますが、それが成長のための投資なのかコストコトロールが十分でないのかはよくわかりません。

ただし、ここ数年間、トップラインやEPSが横ばいであり成長企業でありながらあまり成長していないことが問題と考えます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):2043%

自己資本比率(30%以上が望ましい):97%

安全性に問題がないというか、集まったお金を溜め込みすぎているというか・・・。

ここまで高い数値の会社はおそらく初めてだと思います。

社長のそのことをよく自覚されているご様子で、今後の事業展開のための資金が豊富にあることを笑顔で認めていらっしゃいました。

効率性 

・有形固定資産回転率:5.7

トップラインが低迷していますが、オフィスビル等のコストもコントロールされているようで、有形固定資産回転率は悪くはありません。

2 株主総会

⑴ 株主総会

第14期定時株主総会 2022年7月28日(木) 田町グランパークブラザ

初めて訪れる株主総会会場でした。

田町グランパークプラザというのは表がスーパーマーケットで、会議場は裏口からでした。

とても暑い日でしたので、受付でお水を頂いたのはありがたかったです。

壇上の皆さんはクールビズでしたが緊張感が伝わってきました。

主な質疑応答

Q.バリオセキュアの関連会社化について

A.資本業務提携の一環であり、バリオセキュア社の有するデータと当社のAIエンジンによりアップセル(より高額な商品への乗り換え)等が期待できる。

財務的にも数千万円の効果が見込める。

Q.株価低迷について

A.心苦しく思う。今季の事業計画の達成やIR活動を通じて時価総額の向上を目指す。

PDCAを適切に回すことが重要と認識。

Q.ライブ配信を検討してほしい。

A.検討する。

Q.時代の変化に対応するための多角化について

A.人気があるAI将棋(B to C)を中心に、市場予測(B to B)やエンタメの分野にも力を注ぐ。

Q.キャッシュリッチな会社であることについて

A.積極的な投資を検討して行く。

Q.建物管理システムについて

A.竹中工務店と共にオフィス環境関連のデータを収集しつつAIに何ができるかを検討している。

将来は、エネルギーが効率化されたオフィス環境の実現を目指す。

Q.宣伝広告について

A.ネット広告に注力し、検索上位になるように広告を実施している。

オンライン大会の実施将棋ユーチューバーの活用にも取り組んでいる。

Q.配当について

A.まだまだスタートアップ企業なので株価を上げることで株主還元をしたい。

将来的には事業の成熟度等を考慮して配当も検討していく。

Q.大株主上位2名が28%ずつ株式を保有していることのリスクについて

A.プライム市場の上場している状況下、株式を買い増して重要事項の拒否権を確保することのリスクは低いと認識している。

監査役の話を踏まえ、取締役会での十分な議論を通じてスピード感を持った適切な意思決定に努める。

Q.人材確保について

A.新卒、中途を問わず採用に注力している。

応募者を増やすため、人材紹介エージェントの活用、社員からの紹介などを実施している。

また、古くからのAI企業であり、かつ、いろいろな投資が可能なスタートアップ企業というブランディングを大切にしていきたい。

決議事項

・取締役3名選任の件

・会計監査人選任の件

拍手を持って賛成、可決されました。

また、「活発な議論、ありがとうございました」という社長の締めくくりの言葉が印象的でした。

最後に、退任取締役の挨拶があり、拍手を贈られていました。

⑵ 株主還元    

配当

なし

株主優待

なし

【総会で頂いた水】

              

3 株主としてのコメント

⑴ 気に入っていること

キャッシュリッチ

キャッシュリッチということで会社の安全性に懸念がないことは安心できます。

さらに、M&A新規事業展開などの可能性も期待されます。

ただし、キャッシュリッチとなったのは今まで会社に集まったお金を投じてこなかったということでもあります。

四季報ではB to Bビジネスが不得手とありますが、そもそも腰を据えてこの分野で事業展開してこなかった結果とも考えられるのでは?

だとすれば、積極的な法人向けAIでどのような事業展開を考えているのか?とても興味があります。

投資の目利き力

バリオセキュアという会社を関連会社化しました。

AIとデータの融合による相乗効果と、配当性向が高い子会社からのキャッシュインが期待されます。

さらに、完全自動運転車の会社への出資を行っています。

数合わせのM&Aではなく、業績の向上に資するものと考えます。

このような投資の目利き力は経営陣の方が元NECの社員であったということで、システムインテグレーターとしての立場から、優れた技術を持つベンチャー企業との付き合いの経験が豊富だったからではないかと推察します。

⑵ 気になっていること

プレゼン力

AIの会社で専門用語が多いのは仕方ないにしても、もう少し分かりやすく話をされたら、投資家の評判は上がるような気がします。

その点でちょっと、勿体無いように感じました。

IRも積極的適時出されているようですが、経営陣が熱意を持って語りかける動画(決算説明など)など、試してみるべきことは少なくないと思います。

株主総会でも事業報告を省略し、5分で質疑応答の時間となったのはちょっと説明不足に感じました。

会場の2面の巨大スクリーンも使用されなかったです。

もう少し、ステークホルダーに対する説明に力を注ぐことを希望します。

従業員数

使用人の状況で人数が61名となっています。

少ないです。

技術力と資金力があってもマンパワーが足りなければビジネスに制約が生じかねません。

ただし、前期との比較では6名増ということで1年間で10%も増員されたことは良い流れだと思います。

人材の質・量の拡充についてもモニターしていきたいと思います。

【グランパーク周辺】

4 まとめ

HEROZについて述べてきました。

社名はキャッチーですが、技術力、資金力、目利き力に優れた良い会社だと思います。

まだまだ事業規模は小さいですし業績も低迷中法人営業などの課題は山積していますが、巨大なポテンシャルをどう活かすかで大きな成長の可能性もあると思ってます。

今後の事業展開から目が離せません。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #HEROZ #将棋ウォーズ

  

丸井【8252】〜小売×フィンテック×未来投資

初投稿:2022.8.3

こんにちは!

この記事は、丸井【8252】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・小売×フィンテック×未来投資

・共創経営

★★★★

【目次】 

【丸井有楽町店】 

                    

1 丸井について

⑴ 会社概要

総資産9200億円、売上高2093億円、時価総額4970億円の事業規模です。

PBRは1.82倍という評価。

売店は自社での販売から賃貸へ移行とあります。

さらに、自社「エポスカード」による割賦販売、手数料収入が柱と四季報では報じらてています。

MISSION

すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会を共に創る

VISION2050

ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る

私たちの方向性(インパクト)

将来世代の未来を共に創る

一人ひとりの「しあわせ」を共に創る

共創のプラットフォームをつくる

いろいろとよく考え、練り上げられた”企業理念”だと考えます。

セグメント

●小売

フィンテック

●未来投資

⑵ 株主になったきっかけ

”百貨店”の銘柄はJフロントリテーリング(大丸、松坂屋)、三越伊勢丹HDを長年保有しています。

JFRは小売と不動産の2本柱、三越伊勢丹は小売に注力しているなか、丸井の小売とフィンテックの経営に関心を持っていました。

そういった好奇心から、今回初めて株主となり株主総会ライブ配信を視聴という流れに至っています。

⑶ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:87%

売上高営業利益率(10%以上が優良株):18%

クレジットカード事業を中心に、高収益なビジネスモデルだと考えます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):244%

自己資本比率(30%以上が望ましい):28%

短期的な安全性は流動比率より問題ないと考えます。

中・長期的な安全性については自己資本比率が低く、ちょっと気になります。

ただし、金融ビジネスを展開していると考えると大きな問題ではないのかもしれません。

効率性 

・有形固定資産回転率:1.24

小売業の平均が5.8回であることを考えると、あまり有形固定資産から見た効率性はあまり良くないようです。

一等地に百貨店を展開しているためと考えます。

ただ、三越伊勢丹HDが0.59Jフロントリテーリングが0.69であることを考えるとむしろ頑張っているようにも思います。

株主総会で頂いた丸井グループの共創経営に関わる書籍】

2 株主総会

⑴ 株主総会

第86回定時株主総会 2022年6月28日(火) 本社3階

ライブ配信を視聴しました。

映像とナレーションで事業報告等がなされ、社長から今後の方向性についての話がありました。

印象に残っているのは

・小売の利益が20億、フィンテックの利益が412億(フィンテックが大きな柱)

・EPS、ROE、ROICのKPIを用いた定量的な事業報告

・知識創造型のビジネスの追求(効率性より創造性)

・人的資本の再定義とその拡充

・一般社員への株式交付

主な質疑応答

【事前】

Q.後継者の育成について

A.後継者育成のプログラムを実施しており5期目を迎える。

75名の修了者が存在しており、現在タフ・アサイメントに取り組んでいる。

後継者を選任する母集団は着実に大きくなっている。

Q.QRコード決済がクレジット決済に与える影響について

A.QRコード決済のクレジットカードへの紐付けが増えており、その点では追い風と認識している。

また、クレジットカードもタッチ決済により、QRコードスマホアプリで立ち上げるより便利な点もある。

【会場】

Q.丸井の店舗のない東北・北陸に置けるカード会員の入会促進について

A.地方の有力店舗との提携を進める。

併せて、ネットを通じた全国レベルの入会促進にも注力している。

Q.収益が最も上がるビジネスモデルについて

A.小売、フィンテック、未来投資の3つの領域での掛け合わせが重要と考える。

Q.(丸井とトラブルを抱えている株主から)のクレームについて

A.昨年来数度に渡りり対応し、見解の相違が明らかになった。

これ以上の対応はしない。→株主は体調不良で救急車で病院搬送

Q.取締役会実効性評価(第三者評価)について

A.過去7回取締役会の実効性について評価してきたが、今回は初めて外部機関に依頼した。

議論が活発であり、他に類を見ない実効性が確保されているとの評価を得ている。

Q.3兆円を超える”グループ総取扱高”の算定について

A.VISAのデータを用いている。

Q.エポスのプリペイドカードの磁気カード以外の展開について

A.スマホ搭載型のプリペイドカードなどを検討している。

Q.tumiki(つみき)証券の現状について

A.ポイント投資ということで13万人の口座数(ゲームを含めると20万人)。

商品は絞り込んでいるが、直近で一つ増やした。

利益貢献できる段階ではないが、頑張る。

Q.丸井中野店の中庭のしつらえは素晴らしい(感想)

A.ありがとうございます。

決議事項

・剰余金の処分の件

・定款一部変更の件

・取締役6名選任の件

監査役2名選任の件

・補欠監査役1名選任の件

社外取締役の報酬額改定の件

拍手を持って賛成・可決されました。

新任者の紹介があり、拍手で応じられていました。

⑵ 株主還元    

配当

下記の通り増配基調です。

株主総会では長期安定のもと、16期連続の増配予定とのこと。

2022年3月期:52円

2021年3月期:51円

2020年3月期:50円

2019年3月期:49円

株主優待

持株数に応じて、買い物件、Webクーポン、エポスポイントがいただけます。 

自社株買い

資本最適化という名目で500億円の自社株買いの計画が発表されています。

ちなみに、株主還元1000億円の内訳では配当800億円、自社株式取得200億円を配分するそうです。

【丸井有楽町店】 

                

3 株主としてのコメント

⑴ 気に入っていること

経営再建

経営危機に陥った会社を数十年かけて立て直した経営手腕は素晴らしいと思います。

そして、未来志向の経営についても着目しています。

サステナビリティ経営の真髄』も読み応えありました。

投資力を高める上で丸井グループの経営を研究していきたいと思います。

百貨店銘柄

百貨店銘柄は3社になります。

厳しい状況下で、それぞれの収益構造は下記の通り大きく異なっています。

●JFR:百貨店:非百貨店(不動産)=1:1

三越伊勢丹:百貨店>非百貨店

●丸井:百貨店<非百貨店(フィンテック

それぞれ、練り上げた戦略のもと頑張っていると思います。

これら、異なるビジネスモデルの3社がこの先どのような展開を迎えるのか。

応援するつもりで注視していきます。

⑵ 気になっていること

フィンテック一本足打法

セグメントは3つに区分されていますが収益の9割以上はフィンテックによるもの。

クレジットカード事業に何かあったときにはどうなるのか?気になります。

実績のある小売や将来が期待される未来投資で、フィンテックを補うのは現状ではちょっとむずかしいと思います。

収益のバランスについて経営陣はどのような展望を抱いているのか訊いてみたいです。

買い物依存症

クレジットカードは便利な一方で、買い物依存症などの問題に通じることもあると思います。

ESG経営と一部の経済的に破綻するカードホルダーとの関係について何か手を打っているのでしょうか。

もちろん、消費は自己責任ということはよく承知しています。

ただし、(詳細は分かりませんが)会社と訴訟関係にある株主がいたことからも、称賛される経営の一方で、さまざまなリスクが存在することも認識しておく必要がありそうです。

4 まとめ

丸井について述べてきました。

共創経営など調べれば調べるほど、経営について多くのことが学べます。

まだ、エポスカードは利用してませんが、最近気になりだしました。

株主として、消費者として応援するつもりでモニターしていきたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #丸井 #エポスカード #フィンテック

  

三菱重工業【7011】〜防衛費2倍で株価は上昇トレンド

初投稿:2022.7.26、更新日:2023.9.2

こんにちは!

この記事は、三菱重工業【7011】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年6月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・脱炭素や防衛関連としての期待

・防衛費2ばいで株価は上昇トレンド

★★★★★

【目次】 

三菱重工業の本社が入居する丸の内二重橋ビル】

                      

1 三菱重工業について

⑴ 会社概要

日本の製造業のリーディングカンパニー。

四季報では総合重機と紹介され、産業機械部門の時価総額で135社中3位と報じられています。

売上高4.2兆円、総資産5.4兆円、時価総額2.8兆円の事業規模。

無形資産(ブランド力、のれん)を示すPBRは1.51倍の市場評価と比較的高評価。

社是

一、顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する

一、誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする

一、世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める

伝統が感じられつつ今の時代にも沿った社是と考えます。

セグメント

下記の4つのセグメントから構成されています。

( )の数値は売上収益構成比です。

エナジー(41%)

●プラント・インフラ(16%)

●物流・冷熱・ドライブシステム(28%)

●航空・防衛・宇宙(14%)

⑵ 株主になったきっかけ

ロシアのウクライナ侵攻や防衛予算増額等の報道に接し、応援する意味で2022年の春に株主となりました。

嬉しいことに、2023年9月時点で株価は年初来高値を更新中です。

⑶ 2023年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:18%

・売上高事業利益率:5%

高収益とは言えませんが、前期に比べてそれぞれ1%ずつ向上しています。

現在「収益力回復・強化」に取組んでいる成果が着実に現れていると考えます。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):116%

自己資本比率(30%以上が望ましい):33%

前期に比べて多少数値は改善しています。

安全性について懸念はないと考えます。

なお、株主総会招集通知の中で政策保有株式を

・2025年度末までに15%未満

・2030年度末までに10%未満

にするとの説明がありました。

自己資本等にどのような影響があるか見極めていきたいと思います。

効率性 

・有形固定資産回転率:5.00

前期よりもわずかですが向上しています。

比較的、有形固定資産については効率的な投資がなされていると考えます。

⑷ 2022年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:17%

売上高営業利益率:4%

あまり高い収益性とはいえなさそうです。

それでも株価は右肩上がり。

現在「収益力回復・強化」に取組んでいるとのことなので、収益性向上による株価への効果が期待されます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):113%

自己資本比率(30%以上が望ましい):32%

数値としては盤石な財務基盤とは言えなさそうです。

ただし、巨大企業であり、同業のIHI自己資本比率が22%であること、増配もできていることなどを考え合わせると安全性に直ちに問題が生じることはないと考えます。

効率性 

・有形固定資産回転率:4.89

製造業の平均が3.22であることを考えると高い数値となっています。

比較的、有形固定資産については効率的な投資がなされていると考えます。

なお、単体での有形固定資産の内訳としては金額順で「建物」、「土地」、「機械及び装置」となっています。

2 株主総会

⑴ 2023年6月の株主総会

第98回 定時株主総会 東京會舘「ローズ」 2023年6月29日(木)

アーカイブ配信を視聴しました。

残念ながら会場での質疑応答についてはカットされていました。

ポイントは下記の通り。

・業績は増収増益。

・「収益」、「成長」、「財務健全性」、「株主還元」に注力。

・「2021事業計画」はほぼ予定通り進捗。

・CO2については「減らす」、「回収する」、「出さない」をに着目。

・新たな事業機会として原子力(革新軽水炉)と防衛を重視。

主な質疑応答

【事前】

Q.スペースジェットの開発中止について

A.開発完了までに5年かかり毎年1000億円の経費が見積もられた。

(それまでに投じた1兆円を含め、)事業性が見込めなくなったため開発中止に至った。

原因として

・認証プロセスについての経験・知見の不足

開発プロセスについての経験・知見の不足

・サプライや対応への経験不足

が挙げられる。

今後は、得られた経験・知見をボーイング社との協業次世代戦闘機の開発に活かしたい。

Q.役員の資質について

A.多様性を重んじ、スキルマトリックスを通して役員選任に活かしている。

【会場】

視聴できず。

決議事項

・剰余金処分の件

・監査等委員でない取締役7名選任の件

・監査等委員である取締役4名選任の件

・補欠の監査等委員である取締役1名選任の件

拍手を持って承認・可決されました。

なお、新役員の紹介がなされていました。

株主総会雑感

スペースジェット開発中止の説明は分かりやすく株主向けだと思いました。

本当はもっと奥深いところに原因があるのでしょうがそこは抽象的な表現に留めていたと思います。

例えば、

・「型式証明取得に対する知経験不足」と説明していましたが、もっと経験不足なホンダがホンダジェットで型式照明取得に成功できたのは何故か?

・「MU-300以降、30年ぶりの米国でのビジネス」と言及していましたが、次期支援戦闘機F-2の開発で官民を通じた米国との交渉をしてきたのではなかったのか?

・F-2の開発メンバーをスペースジェットに投入して開発に失敗しているのに、スペースジェットの開発経験を次世代戦闘機(日・英・伊の共同開発)に本当に活かせるのか?

など色々な疑問が浮かび上がってきます。

もちろん、当社もそのようなことについては深掘りしてちゃんと総括していると思いますが、総会での説明はちょっと淡白だったように感じました。

ただし、そのような開発中止を、成長分野へのリソースの集中投資と市場は好意的に受け止めており、そのことが株価の上昇トレンドに現れていると思います。

防衛費は2倍になります。

我が国の安全保障におけるリーディングカンパニーとしての役割も含め、今後の事業展開に期待します。

⑵ 2022年6月の株主総会

第97回定時株主総会 2022年6月29日(水) 東京會舘

ライブ配信を視聴しました。

社長が議長を務め、事業報告から対処すべき課題までビデオで紹介されていました。

カーボンニュートラルを実現するための

・供給側からの脱炭素のアプローチ

・需要側からの省エネのアプローチ

という説明が印象に残っています。

主な質疑応答

【事前】

Q.三菱スペースジェットの現状について

A.2020年10月から飛行試験を中断しているが、リージョナルジェット市場の回復、サプライヤーの状況を勘案して再会のチャンスを狙っている。

それまでの間、ボンバルディア社から買収したリージョナルジェット事業を通じて実績を積み重ねていく。

Q.取締役の構成について

A.女性もデジタルも強い人材が揃っている。

個々の役員ではなく全体を通じて多様性を発揮していく。

【会場】

Q.定款変更について

A.株主総会資料については電子データが基本となっても、手続きをすれば紙で入手することは可能。

Q.ウクライナ情勢の影響について

A.従業員とその家族の安全を第一として対応する。

Q.1000億円の研究開発について

A.H3等研究開発は競争力強化のために積極的に実施する。

担当部門のみならず、横断的な取り組みをしておりリソースは十分にある。

Q.徴用工訴訟問題について

A.日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決済み(会場から拍手)

Q.定款変更についての修正動議

A.承知した。

Q.三菱重工業に対する激励

A.頑張る(会場から拍手)

Q.半導体を何とかしてほしい。

A.産業基盤を作るということを通じて貢献したい。

Q.品質について

A.トップメッセージを通じて重要性を再周知している。

定期的な監査・モニタリング体制を構築するとともにネットワークを密にすることによる品質の維持に努める。

Q.H3の開発について

A.現状はポンプで見つかった課題に取り組んでいる。

その上で、計画的な試験機の打ち上げを目指す。

Q.無人機について

A.防衛と民間の2つの需要に対応している。

航空機のみならず、省人化のニーズに応えるさまざまな製品づくりに取り組んでいる。

Q.風力発電について

A.陸上風力発電からは2015年までに撤退した。

洋上風力発電デンマーク企業との合弁会社と協力しながら各種事業を継続している。

Q.波動を用いた再生可能エネルギー発電について

A.再生可能エネルギーについては基礎的技術の開発に取組んでいる。

その一環として、小さな発電装置というものに対してあらゆる可能性を念頭に対応している。

Q.みなとみらい技術館の人数制限について

A.コロナ禍の収束を踏まえて対応する。

なお、Webの活用も実施している。

Q.三菱重工業ゆりかもめのような遅い交通システムしか作れないのか!?

A.制約条件のもとで安全性を第一と考えた結果の交通システムである。

Q.ミッション・ネット・ゼロの達成の見込みは

A.2040年を目途に固い決意で臨んでいる。

水素還元製鉄の研究開発もそれに貢献できる可能性があると考える。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・監査等委員でない取締役7名選任の件

・監査等委員である取締役1名選任の件

拍手を持って原案通り賛成・可決されました(修正動議は否決)。

⑶ 株主還元    

配当

1株配当実績は下記の通りです。

・2023年3月期:130円

・2022年3月期:100円

・2021年3月期:75円

・2020年3月期:150円

・2019年3月期:130円

・2018年3月期:66円

・2017年3月期:12円

2018年から増配基調となり、一旦はコロナ禍で減配しますが再び増配。

連結配当性向は30%としているので今後も期待されます。

株主優待  

なし 

自社株買い

実施せず

【丸の内二重橋ビル】

                

3 株主としてのコメント

⑴ 自社株買い無しについて

株価が上昇トレンドを継続しています。

しかも、自社株買い無しでここまで株価を上げるというのは投資家の期待の大きさを物語っています。

反対に考えると自社株買いに積極的なのに株価が冴えない会社というのは、もう少し根本的に経営を見直したほうがいいいと思います。

会計マジックを駆使しなくても株価を上げ得ることをMHIの株価が教えてくれました。

⑵ サイレントマジョリティ

株主総会で、徴用工問題に対する株主の質問に対して、会社が「解決済み」と言明したことに対して、会場からの拍手がライブ中継でも伝わってきました。

サイレントマジョリティというか、心ある多くの株主が会場に集っている様子が目に浮かびました。

また、修正動議についても同じようなことがたの総会で実施されていましたが、会場の多くの株主によって否決されています。

三菱重工業はこのような多くの株主の愛に支持されていることに矜持を持って頑張ってほしいと思います。

ちなみに株主構成では、外国人と個人投資家がそれぞれ3割という割合になっているようです。

ゆりかもめ台場駅

4 まとめ

三菱重工業について述べてきました。

脱炭素日本の安全保障に極めて重要な役割を果たしている会社です。

自社株買い無しにも関わらず株価が上昇基調なのは、心ある多くの株主サイレントマジョリティ)と市場の期待の高さを物語っていると考えます。

広い視野と長期的な展望を持ちつつ株主として応援していきたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産運用 #三菱重工業 #ゆりかもめ #リージョナルジェット #スペースジェット #革新軽水炉

  

住友商事【8053】〜株主総会雑感

投稿日:2022.7.19

こんにちは!

この記事は、住友商事【8053】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・総合商社の中での位置付け

・自信を持って!

★★★

【目次】 

【本社の大手町プレイスイーストタワー】

1 住友商事について

⑴ 会社概要

大手総合商社のひとつで通信やメディアに強いとされています。

四季報時価総額順位では総合商社の中で5/8位となっています。

大手5社の中で唯一自社ビルがなく、大手町プレイスイーストタワーを拠点としています。

傘下にスーパーのサミットやドラッグストアのトモズがあります。

総資産9.5兆円、売上高5.4兆円、時価総額2.3兆円という事業規模です。

PBRが0.73倍と他の総合商社と比べて厳しい評価となっています。

企業理念 

●健全な事業活動を通じて豊かさと夢を実現する。

●人間尊重を基本とし、信用を重んじ確実を旨とする。

●活力に溢れ核心を生み出す企業風土を醸成する。

住友430年の歴史に培われた「住友の事業精神」を基に、1998年に「企業理念」が制定されたとのこと。

430年という極めて長い伝統の重みを感じます。

セグメント

●金属

●輸送機・建機

●インフラ

●メディア・デジタル

●生活・不動産

●資源・化学品

比較的非資源に強いと考えます。

⑵ 株主になったきっかけ

高配当ということで商社株に投資をした際の銘柄の一つです。

大手総合商社の特徴がまだ良く理解しきれていないうちに株主となりました。

⑶ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:18%

・売上高に対する税引前利益率:11%

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):151%

自己資本比率(30%以上が望ましい):35%

構造改革中ということで、安全性についても今後の改善が期待されます。

効率性 

・有形固定資産回転率:5.37

他の大手商社と比較しても概ね同じレベルです。

有形固定資産の額も減っていはいますがそれほど顕著ではありません。

構造改革と有形固定資産の売却とはあまりリンクしていないように推察します。

【グループ傘下のトモズ】

2 株主総会

⑴ 株主総会

第154期定時株主総会 2022年6月24日(金) The Okura Tokyo

ビデオによる事業報告がなされました。

続いて中期経営計画(SHIFT)についてスライドを用いた社長のプレゼン。

・DOE(株主資本配当率)3.5〜4.5%の範囲内で連結配当性向30%

ROE株主資本利益率)12〜15%

役員報酬の改善

SHIFT2023

・マネタイズモデルの確立

・ビジネスモデルチェンジ

・過去の失敗を繰り返さないこと!

主な質疑応答

【事前】

Q.他の総合商社との格差について

A.利益の絶対額の格差が生じているのは事実。

構造改革により収益力の向上と下方耐性をつけつつバリューアップ事業を通じて改善に努める。

Q.株価低迷について

A.市場のからの期待に応えられていないことが原因であり、資産や事業ポートフォリオの入れ替えを実施している。

収益性や安全性については一定の成果が得られており、スピード感を持った経営を継続する。

Q.経済安全保障について

A.ロシア関連ビジネスについては活動を停止もしくは縮小している。

中国関連のビジネスについては情報を収集中である。

Q.女性役員等について

A.直近の登用は未定だが、2030年に女性役員の比率30%に賛同している。

また、社長等の任期は最長6年とし、人材の多様化を図っている。

Q.マダガスカルのニッケル事業(アンバトビー)について

A.コロナ禍で1年間の操業を停止しているが、収まり次第、再開する。

【会場】

Q.台湾有事について

A.社員とその家族の安全確保を最優先とする。

事業への影響は限定的。

Q.(所沢のサミットのファンから)西武との提携業務について

A.不動産関連で所沢にて西武との提携を強化していく。

Q.6号議案(取締役報酬額の改定の件)について

配当が18%下がることと同時に役員報酬も3割下がる設計となっている。

株価上昇のみならずTOPIXに対してオーバーパフォーマンスとなることが役員賞与を上げるためには必要となる。

Q.仙台バイオマス発電所について

A.安定的な再エネとして必要と考える。

Q.為替の影響について

A.なるべく排除するよう努めている。

21年度は1ドル110円、22年は120円を想定している。

1円の円安により12億円の収益力向上となる。

Q.撤退事業について

A.構造改革の一環として9.5兆円のバランスシートを全て精査し、住友商事グループに残るのが良いのか?それ以外の選択肢の方が良いのかを総合的に決定したもの。

450社中101社を選別した。

Q.ニュージーランドでの森林事業について

A.森林開発として樹木の伐採、林道の建設、(FSC認証に基づく)木材の輸出等を推進している。

Q.バフェット氏とのつながりについて

A.定期的にビジネスミーティングを実施している。

Q.高騰する物流費について

A.コストコトロールに努める。

Q.生え抜きばかりの取締役(グループ・シンク)について

A.執行役員の中に中途採用社はいない。

ダイバシティ&インクルージョンに賛同しつつ、変化の早い時代に対応することを優先している。

Q.インドネシアの石炭開発について

A.新たな石炭開発に開発はしないが、既存の石炭開発は当面継続する。

決議事項

・剰余金の配当の件

・定款の一部変更の件

・取締役11名選任の件

監査役1名選任の件

・取締役賞与の支給の件

・取締役報酬額の改定の件

⑵ 株主還元    
配当

配当の推移は下記のとおりです。

2022年3月期:110円

2021年3月期:110円

2020年3月期:70円

2019年3月期:80円

2018年3月期:75円

連結配当性向30%程度を目安としているとのこと。

安定した配当は魅力です。

株主優待  

なし                 

3 株主としてのコメント

⑴ 今後の事業展開

2021年は赤字、2022年はV字回復、2023年は減益・減配そして2024年以降に利益は向上していくとの見通しが説明されました。

2023年の減益・減配は避けられないのでしょうか?

あのバフェットも株主なので優れた経営が為されていると思いますが、ちょっと複雑な気持ちです。

事業環境の波を考えた長期投資という視点が大切だと思います。

⑵ 気になったこと

社長はプロンプターを見過ぎです。

文字を読んでいる表情がそのまま見えてしまうので話に説得力に欠けました

それなら、下を向いて紙を読みながら時々顔を上げて言葉に力を込めた方が迫力のあるプレゼンができたと思います。

また、株主への回答の際、

「・・・よろしいでしょうか?」

と付け加えていました。

いらないと思います。

テンポ良く円滑な議事進行を行った方が総合的には株主のためになると考えます。

丁寧な対応として交換が持てますが、中身のある回答を自信を持って行い

「以上、ご回答申し上げました。」

で打ち切っても問題ないと思います。

そのほうが、経営陣に対する信頼性が高まると思います。

また、会社四季報では

「ロシア事業の中で、航空機リースで前期500億円減損、ロシア国内の航空機34機は返還交渉を継続中」

とあります。

総会では株主からの質問はありませんでしたが、今後の展開が気になります。

【大手町プレイスイーストタワー】

4 まとめ

住友商事について述べてきました。

5大総合商社の中で低迷中ですが、430年の住友の歴史構造改革による伸び代を考えると将来性に期待することもできると思います。

ただし、ロシアからの航空機の返還など懸念事項等も少なくありません。

さらに、チャイナリスクについては検討中」とありリスク管理がちょっと甘い気がします。

今後も危機感を持ちつつ会社をモニターしていきたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #住友商事 #トモズ

  

三井物産【8031】〜株主総会雑感

投稿日:2022.7.9

こんにちは!

この記事は、三井物産【8031】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・5大総合商社の中の位置付け

・自社株買い重視について

★★★

【目次】 

三井物産ビル】

                     

1 三井物産について

⑴ 会社概要

総資産15兆円、売上高11.7兆円、時価総額4.6兆円の事業規模です。

総資産に比べて時価総額はその3分の1。

PBRが0.81倍と厳しめの評価。

企業理念 

Mission

●世界中の未来をつくる

Vision

●360°business innovators

Values

●「挑戦と創造」を支える価値観

・変革を行動で

・多様性を力に

・個から成長を

・真摯に誠実に

立派な経営理念だと思います。

あとは、この経営理念がどこまでグループ全体にどこまで浸透しているかが問題です。

オペレーティングセグメント

・金属資源

・エネルギー

・機械・インフラ

・化学品

・鉄鋼製品

・生活産業

・次世代・機能推進

⑵ 株主になったきっかけ

資源高を背景にした好業績期待と高配当に魅力を感じました。

地政学リスクの影響を受けつつも思った通りの利益が得られています。

⑶ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:10%

・売上高に対する法人所得税前利益率:10%

粗利と税前利益がほぼ同額なのは持分法による投資損益のおかげです。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):150%

自己資本比率(30%以上が望ましい):39%

短期的にも中・長期的にも安全性に問題は無いと考えます。

効率性 

・有形固定資産回転率:5.37

他の総合商社に比べると多少苦戦している数値となっています。

株主総会が実施されたThe Okura Tokyo】

2 株主総会

⑴ 株主総会

第103回定時株主総会2022年6月22日(水)オークラ東京「平安の間」

ライブ中継を視聴しました。

会長が司会を務めていました。

対処すべき課題についてようやく社長が話を始めました。

その中で過去最高益を達成したことなどが説明されています。

主な質疑応答

【事前の質問】

Q.業績について

2022年は基礎営業キャッシュフローが特に良かった。

2023年もトレーディングポートフォリオの最適化により力強い収益力を確保する。

Q.株価について

A.株価を意識して経営しており、更なる上昇余地があると考える。

中期経営計画に沿って市場との対話を重視していく。

Q.配当・自社株買いについて

A.配当は一株あたり80円から段階的に引き上げて現在120円としている。

自社株買いは5月〜9月に1000億を上限に実施中である。

基礎営業キャッシュフローに対する総還元性向は33%である。

Q.サハリンプロジェクトについて

A.ロシアへの制裁には賛同しつつ、エネルギーの安定供給に努める。

【会場からの質問】

Q.株主総会の経費について

A.正確な数値は言えないが、これまでグランドプリンスホテルからオークラになりさらにハイブリッド総会にも対応している。

Q.脱炭素について

A.主要な柱であり、”業際”あるいは複合的な対応が大切である。

Q.チャイナリスクについて

A.地域分散が重要であり、代替えプランを用意している。

Q.(社外取締役に対して)感想は?

A.赤字決算から安定したポートフォリオの再構築までやってこれた。

サステナビリティを重視しつ、厳しい意見を言うことも必要。

Q.社長選任のプロセスについて

A.指名委員会の議論により候補者が選定されている。

その中で、全人格、資質、リーダーシップ、危機管理力などを総合的考慮して社長が選ばれる。

Q.ESG等について

A.効率化はデジタルの力で達成していく。

Q.金属が利益に半分を占めている。リスク分散を考慮したポートフォリオについて

A.強い部門は強化しつつ、同時に”業際”を重視する。

材料化学、鉄鉱石、エネルギー分野におけるガスに着目している。

Q.モザンビークにおける事業について

A.LNGアフリカのプロジェクトとしてガスが有望である。

安全が確保され次第、工事を再開させる。

Q.商品価格の下落を見込むとは?

A.金属資源の価格低下が減益要因となり得ることを示している。

Q.女性役員の割合について

A.当社は女性役員の割合が高くはないがそれは新卒総合職の採用の遅れによるもの。

今は採用者の30%が女性であり、現状の8%の管理職の割合が2025年までに10%にすることを目指している。

Q.食料の安定供給について

A.穀物、肥料の値上がりや円安ではあるが頑張る。

Q.障害者の雇用について

A.多様性を重視しており、本社ビルに入居する三井物産パートナーズで採用し業務をアウトソーシングしている。

Q.経営のスピードについて

A.本社の仕事が現地で遅いと言われないよう、ディシジョンメイキングは早く行うよう努めている。

その際、手続きは省くが重要な論点は見逃さないことを心がけている。

”人の三井”と言う良さが活かされ、社員が元気になってきている。

Q.コロナ禍を踏まえた医薬・医療についての商社の役割について

A.ワクチンを早期に普及させるためには臨床試験を体系的に実施し得るインフラが必要でありその構築の検討を進めている。

併せて予防や治療に関する世界中の知見を集めて生かせるように努める。

決議事項

・剰余金の配当の件

・定款一部変更の件

・取締役14名選任の件

監査役1名選任の件

・取締役報酬改定の件

拍手を持って賛成・可決されました。

最後に新任の取締役の紹介がありました。

⑵ 株主還元    

配当

配当の推移は下記のとおりです。

2022年3月期:105円

2021年3月期:80円

2020年3月期:80円

2019年3月期:80円

2018年3月期:70円

増配はありがたいです。

株主優待

なし

三井物産ビルの案内板】

              

3 株主としてのコメント

⑴ 5大総合商社の中の位置付け

5大商社の中では地道な印象があります。

ビジネスの規模で三菱商事ビジネスの質では伊藤忠、その間が三井物産と評価する雑誌もあります。

今回、株主総会を視聴してもやはり特徴がいまいち掴めなかったです。

ただし、トレーディングポートフォリオの見直しで収益を上げているという説明はよくわかりました。

⑵ 気になったこと

司会が会長

会長が司会をされていました。

ちょっと違和感がありました。

社長が”軽く”見えてしまったからです。

やはり、社長が司会を務め議事の進行を進めることでリーダーシップのあるところを株主に披露し、会長は何かあった時のためにどっしりと構えている方が”重み”があるように感じました。

カントリーリスク

サハリン2の資産をロシア企業に無償譲渡させる大統領令の問題が報じられています。

商社のビジネスモデル上、カントリーリスクは避けて通れないと考えます。

ただし、次はチャイナで同様なことが起こることは多くの投資家が懸念していることでもあります。

ロシアでの教訓を今後のビジネスに活かすことを強く希望します。

自己株式の取得への執着

自社株買いと配当の金額の推移を見てみると、2022年3月期に自社株買い(1750億円)が配当総額(1700億円)を初めて上回っています。

また、三菱商事との比較においても

三菱商事

・営業キャッシュフロー:1兆円

・自社株買い:700億円

三井物産

・営業キャッシュフロー:8000億円

・自社株買い:1700億円

と、キャッシュアウトにおける自社株買い比率が高めです。

何故、三井物産は自社株買いに執着するのでしょうか?

一般に自社株買いの効果は

ROEの向上

・株主構成の入替

・経営陣が株価を意識した経営をおこなっていることのメッセージ

などが挙げられます。

三井物産の場合、ROEの向上を強く意識しているのでは無いかと推察します。

根拠は、「資本効率向上等を目的とした自己株式取得」と利益配分に関する基本方針に記載されているからです。

また、ROEが18%であることも報告の中で強調されています。

ただし、

ROE=利益率×回転数×財務レバレッジ

で算出されます。

三井物産の経営理念に「真摯に誠実に」と謳われています。

個人的にはROEを上げるなら財務レバレッジではなく、利益率回転率の向上で頑張って欲しいと思います。

ちなみに、三菱商事は自社株買いは少なめですが(会計マジックに頼らず)、ROEは15%を達成しています。

4 まとめ

三井物産について述べてきました。

5大商社の中では目立たない印象でしたが、株主となって色々と調べてみると自社株買いへの傾倒など、目立たない理由が見えてきました。

三井物産は多くの「志」を持つ優秀な人材を抱えているはず!

会計マジックに走らず本業において「真摯に誠実に」取り組むことを期待します。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #三井物産 #自社株買い

  

JFEホールディングス【5411】〜株主総会雑感(スピード感のある決断を!)

投稿日:2022.7.5、更新日:2023.7.6

こんにちは!

この記事は、JFEホールディングス【5411】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年6月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・PBR=0.5〜0.6

・経営の決断とスピード

★★★

【目次】 

株主総会の会場となった帝国ホテル】   

                    

1 JFEホールディングスについて

⑴ 会社概要

粗鋼生産国内2位の会社。

売上高5.2兆円、総資産5.5兆円、時価総額1.2兆円の事業規模です。

PBRが0.55倍と非常にブランド価値が低く評価されています。

企業理念 

「常に世界最高の技術を持って世界の貢献する」

セグメント

下記3つの中核子会社から成り立っています。

JFEスチール

JFEエンジニアリング

JFE商事

⑵ 株主になったきっかけ

割安かつ高配当ということで2022年の年明けに購入しました。

期待通りの高配当をいただいています。

⑶ 2022年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:12%

売上高営業利益率:4%

前期よりも収益性は低下しています。

日本製鉄が

・売上高総利益率:16%、

売上高営業利益率:11%

であることを考えると同一業界でも大きな差がついていることが明らかです。

やはり、価格競争力やコスト改善等の構造改革の遅れが原因と推察します。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):154%

自己資本比率(30%以上が望ましい):40%

安全性については短期的にも中・長期的にも問題となるレベルでは無いようです。

ただし、日本製鉄の方ば数値的には高く差がついてしまっています。

効率性 

・有形固定資産回転率:2.79

前期と同レベルの数値です。

ただし、日本製鉄よりも数値が高く、やや効率的な経営がなされていると考えます。

⑷ 2022年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:15%

売上高営業利益率:9%

2期連続の赤字から黒字回復しています。

ただし、業界首位の日本製鉄に収益性の良さでは及んでいません。

この点について株主からの質問で会社の見解を伺うことができました(主な質疑応答をご覧下さい)。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):160%

自己資本比率(30%以上が望ましい):39%

財務面は問題となるレベルではありません。

しかし、安全性に関しても日本製鉄の方が良い数値となっています。

効率性 

・有形固定資産回転率:2.36

製造業の平均が3.22であることを考えると効率的な経営については平均値に至っていないと考えられます。

利益を生む有形固定資産を考えると構造改革が必要なレベルにあると見なすことができます。

【2023年6月の株主総会の看板】

2 株主総会

⑴ 2022年6月の株主総会

第21回定時株主総会 2023年6月27日(火) 帝国ホテル 孔雀の間

遅れて会場に足を運びました。

ちょっと、ギスギスした雰囲気でした。

主な質疑応答

Q.社員の平均年収について

A.750万円であり低い水準ではない。

また、賃上げも3.3%実施している。

Q.PBR低迷について

A.現在、0.5〜0.6程度で推移している。

脱炭素の風潮の中、投資家の中に鉄鋼は買いずらいとの認識があると分析している。

当面はROEの向上に努めるとともに長期的には超革新的な技術で脱炭素問題を解決することが理想と考える。

また、海外(特にインド)が成長の源泉であり、量から質への転換を通じて高収益性の達成に努める。

Q.長期化する役員の活性化について

A.現在の社外取締役は3〜5年。

製造業はその理解に3年はかかるので長期化はやむをえないと考える。

Q.熱中症になりそうな暑さなのに、水も出ないことはショックである。

A.申し訳ありません。

感染症対策の一環ですが、次回からは対応させていただきます。

Q.閉鎖された高炉に勤めていた従業員について

A.面談にてあららな職場探しを支援させていただいている。

Q.役員数が多いのでは?

A.現在の業務を考えると最低限の人数であると考える。

Q.水素の調達について

A.国が策定した水素基本戦略(2015年、2023年改定)に基づいて実施している。

鉄鋼のニーズだけでいっぱいいっぱいになりがちではあるが、先のことを予測するのは難しい。

よって、自社オンリーで賄うことは難しく、さまざまな取組が重要と認識している。

例えば、電力が安いオーストラリアで水素生成して日本に輸入することも選択肢の一つである。

複線的に考えていく。

Q.PBR1倍割れ解消について

A.カーボンニュートラルの影響を受けている。

この問題に対しては研究開発に注力している。

また、

PBR×PER=ROE

であり、利益を上げてROE向上を通じて1倍割れ解消に努める。

Q.談合問題について

A.裁判中でありそれを踏まえて処分するとともに、コンプライアンスを引き続き強化していく。

Q.当社のTVコマーシャルについて

A.創立20周年を記念して行なったものである。

Q.川崎市池上町の不法占拠について(固定資産税は払わなくていいのでは?)

A.川崎市とともに適切に対応していく。

Q.JFEスチールの子会社の公害問題について

A.法令を遵守しつつ姫路市の指導を仰ぎながら取り組んでいく。

決議事項

・剰余金配当の件

・取締役8名選任の件

拍手を持って承認・可決されました。

株主総会雑感

技術は一流なのに市場の評価が低いことから東芝が思い出されました。

思えば、東芝は米国の原発会社ウエスティングハウスへの投資が失敗し、不適切な会計を経て株価が暴落して物言う株主の台頭、そして上場廃止への道を辿っています。

同じように、当社も中国投資で失敗アステラス製薬の幹部社員拘束等の事件を含む)し、市場からの評価が更に悪化してアクティビストに狙われるのではないかと懸念しています。

株主総会でも、その点につての指摘は皆無。

日本製鉄が”中国の損切り”に舵を取っているのに当社が決断できないのは会社の存続に係る大きな問題だと思いました。

日本製鉄以上に技術は素晴らしいと感じているので、経営の決断とスピードに期待します。

【2022年6月の株主総会の看板】

⑵ 2022年6月の株主総会

第20回定時株主総会 2022年6月24日(金)帝国ホテル 孔雀の間

社長が司会のもと、2期連続の赤字からV字回復したことが説明されました。

事業報告の中で3つの事業について紹介。

そして、量から質への転換の重要性が強調されて審議へ。

主な質疑応答

Q.今後の中期経経営戦略の進捗について

A.構造改革による500億円生産性向上による500億円1000億円の積み上げを目指す。

Q.工場内のについて

A.工場内に住み着いた猫について保険当局と協力しながら適切に対処する。

Q.子会社3社の親子上場について

A.当局の指導に従い手続きをしている。JFEコンテナについては完全子会社化した。

残りの2社については競争を維持する観点から上場のままとする。

Q.川崎市池上町の不法占拠について(約3〜4名で同様の質問)

A.川崎市と協力しながら適切に対処している。

Q.PBRが1倍を切っている株価水準について

A.市場が当社の業績の安定性を見極めようとしているのではないか?

ROEなどの指標に着目しつつ適時IRを発出していく。

特に、カーボンニュートラルに関すること革新的な技術が今後を左右すると考える。

Q.配当性向30%にこだわらずに研究開発費に投じることについて

A.会社の基本方針として株主に報いることを大切にしていく。

Q.日本製鉄に比べ収益力が低い点について

A.日本製鉄の収益性は25%に対して当社は15%となっている。

原因は販売価格と固定費である。

対策として、販売価格の改善と構造改革による固定費削減を実施する。

Q.グローバリゼーション終了の影響について

A.鉄鋼市場で大きな変化が生じているが、中国からは手を引くことはできない。

Q.10年後を見据えた今後の組織体制について

A.(洋上風力発電の例を挙げ、)3つの事業のシナジーを追求していく。

現在は、事業構造を見直す時期ではない。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・取締役8名選任の件

監査役3名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

⑶ 株主還元    

配当

一株あたりの配当の推移は下記の通りです。

赤字の間も配当を継続したのはある意味、立派だと思います。

2023年3月期:80円

2022年3月期:140円

2021年3月期:10円

2020年3月期:20円

2019年3月期:95円

株主優待  

自社グループの会社説明会及び各製鉄所・事業所の工場見学の開催

【総会会場の様子】

                

3 株主としてのコメント

⑴ 事業分散の良さ

コロナ禍の影響で2期連続の赤字からV字回復を達成しています。

一般にリスク対応として、事業ポートフォリオの分散がなされます。

その意味で、鉄鋼事業、エンジニアリング事業、商社事業の3つがリスク分散に寄与しているのではないかと考えます。

併せて、会社が例に挙げた洋上風力発電のような各事業のシナジー効果が発揮されれば回復に弾みがつくと予想します。

⑵ ブランド力

PBRはのれんやブランド力などの無形の価値を意味します。

その点でJFE HDの0.4倍というのはブランド力の無さを物語っています。

また、PBRについてはエーザイがESG経営によって高めてきた取り組みが有名です。

ESGと言ってもJFEだより」に記された一般的な内容ではありません。

具体的にはエーザイが実施した、女性役員の登用、従業員の給与の見直しなどのことであり、今後のブランド力向上を意識した経営を望みます。

⑶ チャイナリスク

米中対立、ロシア制裁、中国の不動産バブル崩壊やロックダウン等のチャイナリスクが高まり続けています。

社長からは、中国から簡単に手を引くことは出来ないという発言もありました。

グローバル4拠点として、いまだに中国が残っています。

日本製鉄の社長は、「中国には市場としての魅力がない!」と既に株主総会で明言されています。

いずれ中国の損切りが不可避なら早い方が良いと思います。

⑷ 経営におけるスピード感について

日本製鉄が3年前に実施したリストラをこれから手がけることや、未だに中国から手を引くことができない経営は何を意味しているのか?

スピード感の欠如ではないかと思います。

先延ばしの組織文化があるのかもしれません。

では何故、経営のスピードが遅いのか?

会社を改革していこうとする意識や覚悟が足りないからではないかと思っています。

その根拠は、総会の質疑応答における担当役員の専門用語の羅列による無機質な解答を数多く聞きながらそう感じました。

残念ながら、株主の質問に真摯に応えようとする姿勢が希薄であり、これでは株主が納得したり共感するのは難しいだろうと推測します。

そのような経営陣のコミュニケーション力で多くの社員を率いて改革を行うのはちょっとハードルが高いかもしれません。

市場がJFE HDに対してPBR0.4倍という極めて低い評価を下しているのは単に業績が安定していないという表面的な事象によるものではなく、経営スピードの無さや経営陣の意識の問題であるということに腹落ちしました。

4 まとめ

JFEホールディングスについて述べてきました。

2期連続の赤字から一転して黒字へとV字回復したにも関わらず、PBRが0.55倍と著しく低い評価について疑問を持っていました。

そして、日本製鉄との比較をしながら、構造改革の遅れや経営陣のスピード感の無さ会社のブランド力の失墜に影響していると指摘しました。

心ある株主が経営陣のスピード感ある決断のために背中をもっと押してあげても良いように感じました。

技術力は高いので、覚悟を持ったスピード感のある経営が実施され飛躍的な発展を遂げることを夢見つつ、会社を注視していこうと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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