投稿日:2022.5.5、更新日:2022.10.18
こんにちは!
この記事は、【8068】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
なお、2022年10月に中間レポートをいただき、その報告に対するコメントを追記して記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
・高配当、伝統、半導体などに比べて投資家の評価が低いのでは?
・三菱電機からの”親離れ”について
★★★
【目次】
【株主総会会場で配られたマスク】
1 菱洋エレクトロニクスについて
⑴ 会社概要
エレクトロニクス商社で、三菱電機やインテル等外国製品を扱っています。
総資産726億円、売上高1121億円、時価総額546億円の事業規模。
総資産や売上高に比べて時価総額が低いのは市場や投資家の評価が高くないことの証左。
実際、会社の無形価値(ブランド力)を示すPBRも0.96倍となっており解散価値を下回ります。
半導体関連銘柄であり商社であるということで期待できそうなのですが、ちょっと株価は苦戦しているようです。
会社のビジョン等は下記の通りです。
ちょっと分かりにくい部分もありますが方向性としては妥当と考えます。
また、60年を越える伝統から顧客、人材、ノウハウの蓄積には大きなものがあると推測します。
実務(オペレーション)レベルでは恵まれているように考えます。
では戦略的にはどうなのでしょうか?
対処すべき課題等から戦略の考察を試みます。
企業スローガン
すべてを、つなげよう。
技術で、発想で。
行動指針
VALUE and PRIDE
ビジョン
”全てがつながるスマート社会”に感動を与えるソリューションパートナーになる
企業情報
エレクトロニクスを中心に付加価値の高い商品とサービスを提供するトータルサービスカンパニー。
目指す姿
お客様の課題やお困りごとを他社よりも早く、優れたやり方で解決させていただく企業
セグメント
トップブランドからユニークなデバイスまで豊富なラインナップと的確な提案力でものづくりを支援
●ICT/ソリューション事業
お客様が直面する課題やニーズをキャッチし各種領域のスペシャリストが解決までのプロセスを支援
⑵ 株主になったきっかけ
1月決算の高配当企業ということで2022年1月に株主になりました。
2021年1月の一株あたりの配当は120円!
今期も期待しましたが一株あたりの配当は60円でした。
でも、四季報によると予想配当利回りは5%を超えており、高配当の恩恵は得ています。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:10%
・売上高営業利益率:2%
収益性は高くありません。
他の商社同様?薄利多売のビジネスモデルの面があると思います。
会社の企業情報に謳われているように付加価値の高い商品やサービスを生み出すことを追求することで収益性の向上に通じると考えます。
ちなみに、新・3ヵ年計画によると2025年1月の目標は
一人当たりの営業利益を1.4倍にすることで
営業利益率:3%
となっています。
きちんとした事業活動をすることで達成可能だと思います。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):218%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):58%
短期的にも中・長期的にも安全性に問題は認められません。
効率性
・有形固定資産回転率:511.87
商社らしく、有形固定資産にはあまりお金を投じていないようです。
数値だけ見れば効率的と考えます。
ちなみに有形固定資産の内訳は金額順に「その他」、「工具、器具及び備品」、「建設借勘定」、「土地」となっています。
独自のサービスを生み出すために、有形固定資産への投資もある程度は必要と思いますが・・・。
【株主総会会場】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第62回定時株主総会 2022年4月26日(火) 時事通信ホール
参加せず。
なお、参加者にはマスクを配布していたようです。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部選任の件
・取締役8名選任の件
・会計監査人選任の件
可決されたとの通知を得ています。
⑵ 株主還元
配当
過去の一株当たりの配当推移
2021年1月:120円
2021年7月:60円
2022年1月:60円
2022年7月:60円(予想)
株主優待
なし
3 株主としてのコメント
⑴ 独自性とは?
対処すべき課題の中で、従来の物販にサービスを加えることで独自性を追求していくとあります。
ただし、具体的にどの様な商品・サービスを目指しているかよくわかりません。
独自性の追求が会社の将来性に及ぼす影響も未知数です。
穿った見方をすれば、三菱電機グループから外れることによって独自性を追求せざるを得なくなったと考えた方が腹落ちする様な気もします。
⑵ 三菱電機グループとの関係
2021年3月、立会外分売により三菱電機は菱洋エレクトロニクスの筆頭株主ではなくなりました。
NTTがドコモを完全子会社した様に世界的にM&A等により企業単独ではなく各グループ力を結集する流れとは逆行しているようにも感じられます。
また、三菱電機には、菱洋エレクトロニクスに代わる別の会社との取引が増加していると情報もあります。
三菱グループから離れる方向性は戦略的に良いことなのでしょうか?
”親離れ”の方向性とその成果に注目していきたいと思います。
⑶ 自己株式26%について
個人的には三菱電機グループとの関係強化が戦略的に正しいと考えます。
ただし、三菱グループを離れ独自性を発揮するという戦略もアリかもしれません。
その場合、26%の自己株式を活用してM&Aを行い独自性追求を具現化することが必要です。
四季報でも10億円程度のM&Aを複数検討中とあります。
スピード重視です。
⑷ 今後の方針
60年を越える伝統、半導体関連銘柄、商社であることを考えると、PBRが1倍未満というのはちょっと市場の評価が低すぎないかと感じていました。
けれども、三菱電機グループから離れ、独自路線を追求しつつもM&Aも検討段階となれば、将来性に懸念を抱かれるのも仕方のないことかもしれません。
配当の高さでしばらくはホールドしていく予定です。
でも、戦略に着目し会社の成長性には注視していきたいと思います。
⑸ 「中堅決算のご報告」を読んだコメント
10月初旬に中間配当5000円の通知と共に『中間決算のご報告』が郵送されました。
一読したコメントをまとめます。
良かったこと
まずは、当上期において売上・利益ともに当初に見通し以上に大きく伸長する好業績であったことが評価されます。
その理由として、半導体供給不足化における好需給、急激な為替変動といった環境要因の他、『経営改革の成果』があったと報告書では分析されています。
以前から三菱電機からの”親離れ”に着目していましたが、その方向性が正しければ更なる成長が期待できると思います。
また、レポートで初めて知ったのですが、スポーツの応援にも力を入れているとのこと。
具体的には
・国内卓球リーグ「Tリーグ」
・女子プロバスケットボールチーム「東京羽田ヴィッキーズ」
・男子プロバスケットボールチーム「名古屋ダイヤモンドドルフィンズ」
とこのと。
スポーツを通じた”社会貢献”する姿勢も好感が持てます。
気になっていること
米中対立が激しさを増しています。
米国は中国に対する厳しい半導体規制を加速しています。
・その影響が当社にどの程度及ぶのか?
・プラスなのかマイナスなのか?
など今後の動向が気になっています。
また、高配当が魅力の当社ですが、配当については純資産配当率(DOE)5%を目安としているとのこと。
ただし、DOEの計算式は、
DOE=年間配当総額➗株主資本×100(%)
となっており、株主資本を減らすことで5%は達成できてしまいます。
しかも、当社は自己株式を24.6%も保有しておりその”使い道”も良くわかりません。
株主としては、年間配当総額を増やす方向で高配当を維持してほしいと願いつつも、気になっているところです。
4 まとめ
菱洋エレクトロニクスについて述べてきました。
会社をビジョン、戦略、オペレーションの3つの階層で考えた場合、三菱電機グループを離れる方向性という戦略に懸念を感じました。
ただし、好業績を知らせる中間報告書の内容を踏まえると戦略的には正しい方向に向かっているのかもしれません。
また、新・3ヵ年計画も発表され、配当の高さも魅力です。
半導体を取り巻く環境要因など機になる点はありますが、会社を成長性を見守りたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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