投稿日:2021.11.22、更新日:2021.12.6、2022.5.1
こんにちは!
この記事は、マザーズ銘柄の霞ヶ関キャピタル【3498】に関心のある方に向けた、株主としてのコメントをまとめたものです。
なお、企業説明会の記事を追加して記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
・テンバーガー候補としての評価
・懸念事項は?
【目次】
【霞ヶ関の官庁街(財務省前)】

1 霞ヶ関キャピタルについて
⑴ 会社概要
物流施設やアパートメントホテルなどの不動産投資商品を組成・運用する急成長起業です。
企業理念
その課題を、価値へ。
Turning Challenge into Value
行動指針
速く。手堅く。力強く。
Be Bold, Reliable and Swift。
セグメント
●不動産コンサルティング事業
不動産に関するコンサルティング、開発
●自然エネルギー事業
太陽光及び風力発電施設からの売電、太陽光及び風力発電施設の開発
関与している主な市場
●物流関連市場
●ホテル関連市場
●国内再生可能エネルギー市場
⑵ 株主になったきっかけ
投資系ユーチューバーの推奨で知り、それ以降ウオッチしていました。
8月決算企業(毎月株主総会参加の一環)で、業績も好調、しかも株主優待も充実していることから2021年3月に購入。
8カ月ほどの保有で、株価は2.8倍になっています(その後株価は急落して行って来い状態)。
【会社の所在地でもあり株主総会が開催された霞ヶ関コモンゲート西館】

⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:31%
・売上高営業利益率:9%
売上高総利益率(粗利率)が3割ということで比較的高収益と考えます。
また、売上高営業利益率が9%と考えると優良株(10%以上)としては少し物足りない数値です。
全体として、収益性は良いと考えます。
けれども、これだけでは株価急騰の理由の説明にはなりません。
成長性
注目すべきは成長性です。
予想される売上高のCAGR(年平均成長率):46.3%
と成長性が著しいことが分かります。
さらに決定的だったのは中期経営計画(霞ヶ関キャピタル2.0)。
2021年8月期の純利益が約8億円に対して
2026年8月期の純利益が100億円という計画を発表したことから急騰が始まりました。
計画通り5年間で利益は10倍以上となれば、株価も10倍(テンバーガー)となり得ます。
これが、株価急騰の根拠です。
そして、その計画にリアリティを持たせるよう矢継ぎ早にIRを連発し、投資家に対して事業の進捗状況について情報を発信し続けている状況です。
安全性
・流動比率(200%以上が目安):259%
・自己資本比率(30%以上が目安):33%
短期的な安全性は流動比率が高く問題ないと判断します。
長期的な安全性では自己資本比率がやや低めと考えます。
なお、社長の決算説明の動画では、自己資本比率30%で問題ないとのコメントがありました。
効率性
有形固定資産回転率:4.36
不動産を保有しないディベロッパーであることから、有形固定資産回転率は他のディベロッパーよりも10倍近く高い数値です。
【株主総会の案内板】

⑴ 事業説明会
日本証券新聞社の個人投資家向けIRセミナーとして霞ヶ関キャピタルの事業説明会が2022年4月22日(金)に日本証券会館にて実施されました。
会場は多くの方で賑わっており、投資家の関心の高さが伝わってきました。
時間は約1時間、質問も活発でしたが司会の女性の方が慣れているご様子でしたので、滞りなく実施されました。
社長から「社会課題解決企業」、「不動産を保有しないディベロッパー」、「5年後に今の利益の10倍を稼ぐ予定」という3つのキーワードに沿って説明がなされました。
特に、10倍の件についてはこの発表とともにテンバーガー候補銘柄として株価が2021年秋に急騰しています。
概要については下記の通りです。
社会課題解決企業
ビジネスポリシーとして下記のように会社の成長をより良い社会に結びつけていることが上手だと考えます。
●EC社会への対応(倉庫不足)→物流施設開発
●環境問題・地球温暖化問題→冷凍冷蔵物流施設開発
●地方創生→アパートメントホテル開発
●高齢化問題→ヘルスケア関連施設開発
●エネルギー問題→再生可能エネルギー開発施設開発
通常のディベロッパーは土地を仕入れてから開発を終えるまで3〜5年を要する。
これに対して、霞ヶ関キャピタルは開発する手筈を半年で整えて土地を売却している。これにより、通常の開発に比べて6〜10倍効率的に資金を運用することができる。
併せて、事業リスク・財務リスク低減にも寄与する。
5年後に今の利益の10倍を稼ぐ予定
5年後(2026年8月期)に今の利益(約8億円)の10倍(営業利益200億円、当期利益、100億円)を目指す要領は下記の通りです。
中期経営計画としては数値化もされており説得力のあるものと考えます。
●コンサルティング型(KC1.0)
土地売却によるキャピタルゲインとコンサルティングによる運用フィー及び成功報酬
(収益化が早く、資金効率を高めた経営が特徴)
↓
●パートナーシップ型(KC2.0)
JV(ジョイントベンチャー)出資比率に応じた運用フィー及び開発利益
(収益化のタイミングは遅くなるが総額は大きくなる)
事業説明
●物流施設開発事業
自然冷媒を用いることによりオゾン層の影響や温室効果を避けることができるのが特徴。
今後、設立後30年以上経過している冷凍冷蔵庫の立て替え需要が順次到来すると考えられています。
●ホテル
FAVホテルは「広くて」、「安くて」、「かっこいい」ホテルを目指したもので、現在4軒が稼働中。
4人で宿泊が可能で、合計1万円台(一人当たり5千円程度)。
チェックイン・チェックアウトは無人機を利用するようにしているが、1階のレストランの担当者にフロント対応を依頼している。
ホテル経営の現状については
・コロナ前の稼働率:63%
・コロナ中の稼働率:23%
一般にホテルの損益分岐点は
・シティホテル:稼働率60%
・ビジネスホテル:稼働率40%
これに対してFAVホテルの場合
・FAVホテル:稼働率15%
●レジデンスファンド
三井物産デジタルアセットマネジメント組んで200億円規模にて地方の物件をデジタル化して小口の証券として売り出すもの。
それは、J-REITの場合に大都市圏の物件(10億円程度)しか買わないことに対し、デジタル証券として4〜5億程度の地方の物件にも投資をすることで活性化に繋げたいという思いがある。
●ホスピス(終末医療)
市場規模は現状50兆円だが将来は85兆円を見込んでいる。
より良い環境の高齢者向け住宅を北海道に展開中である。
主な質疑応答
Q.金利上昇の影響について
A.ダメージは受けるが(「不動産を保有しないディベロッパーのため」)相対的に小さいと考える。
Q.出口戦略について
A.ファンドやJ-REITにも参入していきたい。
Q.売上が1/四で小さく4/四で大きくなる理由について
A.不動産が最も多く流通するのが2〜3月なので、ここで仕込んで半年で8月の決算につなげることによる。
平準化には努めている。
Q.社長のプロフィールについて
A.世界最古の不動産グループである英国のグロブナーという会社の日本法人に勤務していた。
Q.物流のリーシング(賃貸収益性確保のためのサービス全般)について
A.社内にリーシングチームを有している。
Q.今後の公募増資について
A.否定はしないが、現状は十分な資金を得ている。
昨年公募増資で調達した資金を用いて36億円の仕込みが完了している。
2000億円規模の物流事業が可能。
チケットのプレゼント
FAV宿泊時に利用できる10%割引券をいただきました。
「次の株主総会では配布するのか?」ちょっと気になりました。
【お土産の宿泊チケット】

第10期定時株主総会 2021年11月29日(月)霞ヶ関コモンゲート西館
社長のあいさつに続き、事務局の報告、監査報告、スライドによる事業報告がなされました。
再び社長から、対処すべき課題、事業紹介がなされ、課題解決企業としての冷凍冷蔵庫や自然エネルギー(環境問題解決)、保育園の開発(待機児童問題解決)などの位置づけが語られました。
議案上程に続き質疑応答になりました。
■質疑応答
Q.コロナ禍を考えると出社率が高いのでは?
A.緊急事態宣言中は要政治従い出社率は2~3割。
緊急事態が解除された現在は事業の状況を考え7~8割。
柔軟に対応できる態勢である。
Q.役員11名というのは少し多いのでは?
A.ガバナンス強化のためにはむしろ少ないとすら考える。
Q.三菱HCキャピタルとの今後の取組は?
よって、三菱HCキャピタルのような質の高い投資家とのパートナーシップが重要である。
Q.従業員の平均勤務年数が1.4年と短く、働きにくい環境なのでは?
A.勤務年数が短いのは、上場して3年がたち多くの新入社員が入社したため。
また、働きやすい環境にも配慮しており、女性も40%を占め産休後に復活する社員も少なくない。
Q.三菱HCキャピタルにも優秀なコンサルタントはいる。御社に期待したのは何か?
A.当然三菱HCキャピタルにも優秀な人材がいると拝察する。
相手の社内のことは分からない。
ただし、当社の強みはソーシング(物件を取ってくる力)だと認識している。
Q.OYO Japanを買収した不動産テック事業の展開は?
A.アマゾンを見てもテック事業で利益を出すには長い年月がかかる。
OYO Japanの件は、公平を期すためにも事業計画が整ってから発表する。
ただし、方向性としては不動産の効率化を考えたものとなる。
Q.中期経営計画実現に伴うリスクの認識は?
A.様々なリスクがあると考えるが、当社がコントロールし得るリスクとしては人材があり、人を拡充により筋肉アップが大切と認識。
Q.海外と異なり日本のリートが充実していないのはなぜか?
A.ご指摘の通り海外では刑務所リートなど、多様な商品がある。
当社としては、逆にそれをビジネスチャンスととらえ事業を展開していきたい。
■議案
・剰余金処分の件
・取締役印7名選任の件
・監査当委員である取締役4名選任の件
・取締役の報酬等の額決定の件
・監査当委員である取締役の報酬等の額決定の件
・取締役に対する譲渡制限付き株式の付与のための報酬決件
・取締役に対するストック・オプション報酬額及び内容決定の件
承認可決されました。
⑶ 株主還元
配当
2021年11月期:一株につき40円
株式分割前の株式数を基準
8月末日の株主に対して株数と保有期間に応じて「霞ヶ関キャピタル・プレミアム優待倶楽部」で使えるポイントを頂けます(下のカタログの写真をご覧下さい)。
また、同ポイントを「WillsCoin」に交換することでプレミアム優待倶楽部を導入する各種企業の株主優待ポイントと合算が出来ます。
今回は包丁を頼みました(下の実物の写真をご覧下さい)。
注文してから1週間ほどで届けていただきました。
我が家の厨房にて活躍中です。
【株主優待のカタログギフト】
3 株主としてのコメント
⑴ 調和のとれた経営
調和とは異なる複数の要素のバランスがとれている状態を意味します。
ではどのような異なる要素のバランスが取れているのでしょうか。
ア 攻めと守り
野心的な中期経営計画で成長のための攻めの姿勢をアピールするとともに、配当や株主優待を充実させ守りも徹底しています。
株主還元の充実が守りにつながることは、
・マクドナルドに異物混入事件が発生した時に株価があまり下がらなかったこと
・オリックスがリーマンショックで株価暴落したことからふるさと優待等の株主還元に力を注いでいること
などから明らかです。
イ 40代の社内取締役と60代の社外取締役
経営というのは、多面的な判断が求められるものです。
デフレの平成の時代の取締役だけでなくインフレの昭和の時代を知る社外取締役のが加わることにより、よりリスク管理が高まると考えます。
ウ コンサルティング型とパートナーシップ型の収益構造
コンサルティング型収益構造とは土地売却によるキャピタルゲインとコンサルティングによる運用フィー及び成功報酬によるもので、収益性が高く資金効率を高めた経営が特徴とされています。
これに対して、パートナーシップ型の収益構造とはJV(ジョイントベンチャー)の出資比率に応じた運用フィー及び開発利益によるもので、収益化のタイミングは遅くなるが総額は大きくなる特徴があるとのこと。
このような相互補完関係の収益の柱を構築することも調和のとれた経営と考えます。
エ 売上高、総資産、時価総額
成長を続ける企業は、時価総額、売上高、純資産、の割合が1:1:1となることが多いといわれます。
霞ヶ関キャピタルの場合は以下の通りです(2021年11月下旬時点)。
・時価総額:360億円(55%)
・売上高:140億円(22%)
・純資産:150億円(23%)
となっています。

テンバーガー候補と呼ばれる会社のほとんどが時価総額が80~90%が多い中、株価急騰中にもかかわらず55%というのは”バランスがいい”と考えます。
ちなみに、株価が急騰する前は時価総額は150億円前後でした。
⑵ 気になる点
物流不動産が大きな収益となっていますが、経営体制を見ると現任の取締役
執行役員物流本部長兼物流事業部長の杉本亮氏は2020年6月に入社したばかり。
勤務期間はわずか、1年半。
そのような短期間でこれだけ事業を拡大した実績は見事です。
けれども、逆に考えればこの業績は個人の力量や人脈に依存した属人的なものと言えるかもしれません。
このことは、
株主総会招集通知記載の対処すべき課題の1項目目に
①不動産コンサルチング案件の開拓
・・・さらなる事業の拡大には組織だった案件ソーシング必要であります。・・・
との記述される問題意識と一致します。
より多くの経験豊富な人材の獲得と教育・研修等による人材の底上げの成否が今後の業績を左右すると考えます。
イ 期ずれの影響
不動産投資商品の売却は必ずしも計画通りいくとは限りません。
むしろ、期ずれが生じることで、四半期ごとの決算で市場の失望を誘うこともあると考えます。
例えば、
M&Aキャピタルパートナーズという仲介
M&A会社も少数精鋭で事業を展開していることから、期ずれがふつうに生じ、その都度株価が乱高下しています。
対策としてはそのような状況下における会社の説明責任をしっかり果たすことに尽きると思いますが、株主としてもそれなりの覚悟と理解が必要と考えます。

⑶ 株主総会に出席したコメント
野心的な中期経営計画を発表し、タイムリーなIRにより投資家への説明責任を果たしている状況から、言葉の使い方が巧みな会社と思っていました。
けれども、今回の株主総会で、”あたりが強い株主”からの質問に対しても終始笑顔で社長が対応されている様子を拝見し、ノンバーバルコミュニケーションにも長けていると感じました。
言語と非言語の両方を駆使して株主との良好な関係を続けて欲しいと思います。
また、OYOの件では、全ての事業活動を計画的に行っているわけではないよう感じました。
始めに行動があり、PDCAサイクルを速く回して次の事業活動につなげる経営スピードの速さが会社の最大の武器かもしれません。
そのことは直近1年で、自然エネルギーから物流不動産(倉庫)に大きくビジネスをシフトして収益化に結び付けたことと符合します。
その意味で、株主として絶えず”学び”が得られる将来性のある会社と期待しています。

4 まとめ
テンバーガー候補として期待され、株価も上昇途上にある
霞ヶ関キャピタルについて取り上げました。
その株価上昇の原動力は、中期経営計画の中で明らかになった、現在の約8憶円である当期純利益を5年後には10倍以上の100億円に引き上げるとの成長に対する貪欲な姿勢です。
けれども、その実現のためには
組織力の強化が不可欠であり、期ずれを理由とした株価の乱高下もあると思います。
株主総会参加を含め引き続き会社の理解を深めるとともに株主としての責務を果たして生きたと考えています。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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